カ・ボッタは、ヴェローナを見下ろす標高500mの畑でぶどうを栽培。斜面に広がる畑では、昼夜の寒暖差と山から吹き抜ける風の影響で、健康的なぶどうが育つ。濃厚なアマローネを生むのに適している環境である。サスティナブル農法を行い、ぶどうの収穫は機械がはいることができないため、すべて手作業。山間の畑は水はけがよく、完熟したぶどうも濃縮していて水分が平地のぶどうよりも少ない。　すべてのワインに、一度陰干しした干しぶどう状の実を使用しており、凝縮した味わいが楽しめる。このワインは、アマローネスタイルの伝統的な造りに、カベルネ・ソーヴィニヨンをブレンドすることで、力強い味わいに仕上げている。チェリーやベリー系の香りが広がり、スパイシーさが感じられる。ブラックベリーなど濃い果実の味わいとまろやかな口当たり。力強いタンニンの余韻を楽しめる。

しっとりと重いカシスの香り。口に含むと赤い果実の皮のしっかりとした甘み、また、イチゴジャムのような甘さが感じられつつ、程よい渋みがまろやかに口に広がる。酸味もそこそこに感じられるが、まろやかな渋みがここちよく、そして、渋みを十分に生かしつつしっかりとした果実味が、ずっしりとのしかかる。それでいて、後味は、程よく引いていく。
このまろやかな渋みと、ほどよい酸味、しっとり重みのある赤い果実やイチゴジャムのような甘味がとてもバランスよく整っていて、とても飲みやすく満足感が高い一品。
渋みというより、苦味に近いかもしれない。苦味とはいても、決して嫌味な感じはなく、甘みと酸味を中和したバランスの良い整った苦味が、個性的でいて、それでいて絶妙なバランスで整えられた絶品。
干しブドウから生産したワインなので濃い果実味のある甘みが楽しめる一品。ただね、このサイトでも紹介した、同じ蔵元のワイン、カ・ボッタ・ロッソ・ルビコンドの上位互換にあたるワインだけど、満足感で言えば、同等か、もしかしたら、劣るかもしれない。個性のあるワインではあるが、全体的に整いすぎて、カ・ボッタ・ロッソ・ルビコンドに比較すると、個性が劣る。それでいて、カ・ボッタ・ロッソ・ルビコンドのほうが、千円安いので、おいしいんだけど、ちょっともったいないというか、どうしても見劣ってしまうもったいないワイン。めっちゃくちゃうまいし、ほかのワインと比べたら全然コスパいいレベルだけど、もったいない。
このワインの品種、カベルネ・ソーヴィニヨンはおなじみの品種だが、コルビーナ・ヴェロネーゼ、コルヴィノーゼ、トゥルケッタは、ヴェネト州の土着品種。特に、コルヴィノーネとトゥルケッタは、他の地域では一切栽培されない、この土地ならではの希少品種。イタリアのカオスなワインを楽しめる最高に面白いワイン。
しっかりとした渋みと果実味は、やはり肉料理に抜群。それほど辛みは少なく、渋い甘みが強調されたこのワインは、甘めに仕立てた肉料理がいいかもしれない。豚や鳥よりは牛がいい。牛の肉じゃが、回鍋肉、野菜炒め、すき焼きに合わせると楽しめる。
赤ワインだけど、しっかり冷やしてもおいしい、甘みと渋みが濃縮された、絶品ワイン。